農に生きる

まだ道半ば

鈴木 辰也さん 2020年05月20日掲載

 満開だった桜も葉桜となり、春の陽気が暑さと交錯し始めた4月中旬、神戸町で養豚を営む鈴木辰也さんに、出荷先である東三河食肉流通センターで待ち合わせ、話を伺いました。
 辰也さんは,農業大学校卒業後、2年間研修した後、家業を継ぎました。きっかけは特になかったと言い、「物心ついたときから後を継ぐもの」と思っていたそうです。御両親の代では畑なども耕作していたとのことですが、段々養豚にシフトしていき、「自分は養豚一筋。畑や米は作ったことが無い」と笑って話してくれました。現在は奥さんと2人で年間約3000頭の豚を出荷しています。
 日常の管理で最も気をつけていることは、「病気を入れないこと」と辰也さん。平成26年からはPED(豚流行性下痢)が全国的に流行していました。PEDが終息したのは昨年の1月、その翌月にCSF(豚熱)が発生したことで、養豚農家にとって厳しい状況が続きました。「病気を完全に防ぐことは不可能だけど、出来ることは全てやらないと」と強い眼差しで話してくれました。
 昨年から養豚部会の部会長を務める辰也さんは、最近若い世代が就農してくれていることに期待を寄せています。「若い世代には、夢を持って取り組んでほしい」とメッセージを送り、「新しい考え方を自分も取り入れて、自分ももっと良い豚を飼育したい」と情熱を燃やします。
 辰也さんは養豚部会の中の高品質豚生産会の代表も務めており、飼養管理に徹底的にこだわった『みなみ愛とん』『みかわポーク』といったブランド豚を生産しています。「自分の養豚人生は『高品質豚生産会』と共に歩んだと言っても過言では無い。就農時から関わっていて、農家、JA、経済連が三位一体となって餌や管理方法を改良してきた。一人では出来なかった。皆で良いものを実現してきた」と熱い想いを語ってくれました。
 「味にはこだわりたい。CSFの影響で出荷できなかった時に、普段『みなみ愛とん』を買ってくれている人が、違う豚肉を何も言わず家族に出したら、『いつもと違う』とすぐにバレてしまったという話を聞いた。やっぱり嬉しいし、次への意欲も湧いてくる」と話す辰也さん。
 「辰也さんは若い頃、夢がありましたか」と尋ねると、「『規模拡大』と『良い豚を生産したい』の2つだね。規模拡大はもう充分だけど、味はまだまだ道半ば。比較対象は今の自分。明日はもっと良くなるよう努力したい。周りの仲間に良い影響をもらったり、与えることが出来たら尚更良いね」と答えてくれた笑顔の奥には尽きない情熱と探究心が溢れていました。

◎養豚部会◎
部会員数 30人
品  種 LWD(三元豚)、WLD(三元豚)
出荷頭数 52,000頭

養豚部会の下部組織『高品質豚生産会』は、「みなみ愛とん」などのブランド肉を生産しています。改良を重ねた種豚や、厳選された専用飼料を統一することで高水準の品質を保っています。一部は「みかわポーク」として流通しており、第10回全国銘柄ポークコンテストで最優秀賞、第46回日本農業賞特別賞を受賞しました。

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